アメリカでトリゴエアマガエルといえば、鳥類でいうところのコマツグミと同じくらいなじみの深い両生類だ。「Spring Peeper(春にピーピーと鳴くもの)」という呼び名が示す通り、春の訪れとともに鳴き始める。
トリゴエアマガエルはカナダやアメリカの中央、東部地域に生息する。木や草の茂った池や沼地のある低地に住んでいるが、小さくて擬態のうまいこのカエルの姿を実際に目にすることは少ない。しかし3月中旬、メスに呼びかけるオスたちの歌声は最高潮に達し、これを聞いて冬の終わりを感じる人は多いはずだ。
トリゴエアマガエルは黄褐色や褐色で、背部にはそれより濃い色でよく目立つXの形の模様がある。体長は4センチくらいで、足には木を登るのに適した大きな吸盤を持つが、もっぱら森の中の柔らかい腐葉土の下で過ごす。夜行性で日中は多くの外敵から身を隠しているが、夜になると好物のカブトムシやアリ、ハエ、クモなどを探すために姿を現す。
トリゴエアマガエルは交尾と産卵のみを水中で行い、残りの期間は森の中で過ごす。冬には丸太の下や樹皮の裏などで冬眠し、雪が解けて歌う機会が訪れるのを待っている。