英語名は「Bald Eagle(頭のはげたワシ)」だが、実際にはげてはいない。白い羽毛に覆われた頭と白い尾を持つハクトウワシは、アメリカの誇り高き国鳥だが、かつてアメリカで絶滅の危機に陥った。何十年もの間、スポーツとしての狩猟や漁場の保護という名目で捕獲されてきたからだ。
また、DDTのような殺虫剤もハクトウワシを激減させる原因となった。これらの化学物質が魚に蓄積され、その魚を主食とするハクトウワシの卵の殻を弱くし、生殖能力の深刻な低下をもたらしたのだ。しかし1972年にDDTの使用が厳しく制限されて以来、再導入プログラムも実施され、個体数は回復した。その結果、ハクトウワシは見事に絶滅の危機を脱し、米国魚類野生生物局はこのワシを絶滅危惧種の中でも危険度の低い保護状態へランクを下げた。
個体数は多くの生息域で増えているが、その数が最も多いのはアラスカとカナダだ。通常は水辺の近くに住み、魚の豊富な海岸や湖を好む。猛禽類らしい力強さを発揮し、かぎ爪を使って魚を捕ることもあるが、多くの場合、死肉をあさって食べたり、ほかの動物の獲物を奪ったりしてエサを確保する。小型の哺乳類を捕らえて食べることもある(泥棒行為をするという理由で、ベンジャミン・フランクリンがハクトウワシをアメリカの国鳥にすることに反対した)。
ハクトウワシは生涯同じつがいで過ごすと考えられている。つがいは地上高くに枝を集めて、鳥類では最大級の巨大な巣を作り、通常、1年に1度、2個の卵を産む。子どもの毛は全身茶色だが、5歳前後になると特徴的な白い毛が生え、両親と同じような姿になる。行動範囲は非常に広く、フロリダからミシガンまで移動した例や、カリフォルニアからはるかアラスカまで移動した例が観測されている。