ヒヒ属には5つの種があり、そのすべてがアフリカ大陸とアラビア半島に生息している。世界で最も大きいサルで、オスの平均体重は15〜35キロ以上、体長は50〜100センチと、種によってばらつきがある。立派なしっぽも長さはさまざまだ。
ヒヒはサバンナや半乾燥地を好むことが多いが、わずかながら熱帯林に生息するものもいる。生活の大半を地上で過ごす。ほかの旧世界ザルと同様に、ヒヒには巻きつけてなにかにつかまれるようなしっぽがないが、木には登れるので睡眠や食事、周囲への警戒のために樹上にいることもある。
ヒヒは雑食性である。中でも農作物を好むためアフリカの農民にとっては害獣だ。果実や草、種、木の皮、根などを食べるが、肉を食べることもある。鳥類や齧歯(げっし)類だけでなく、レイヨウやヒツジといった大型哺乳類の子どもを捕食することもある。
ヒヒの仲間のうち4種類(チャクマヒヒ、ドグエラヒヒ、キイロヒヒ、ギニアヒヒ)はサバンナヒヒとして知られる。十数〜数百匹に及ぶ群れは複雑な階級制になっている。オスはライバルを威圧するために身体能力を誇示する。群れの中では仲間同士が延々と互いの毛繕いをしたり、虫やふけを取り除いたりしている。残る1種類はマントヒヒで、アフリカ大陸の紅海沿岸にある丘陵地帯とアラビア半島に生息する。崖に住み、日中は小集団に分かれてエサを探すが、夜になると大きな群れを形成して休息する。