イッカクは海のユニコーンと言われ、北極の沿海や河川で見られる青白色のクジラだ。 この伝説的な動物には2本の歯があり、オスはそのうちの1本がねじれながら成長し続け、最大約3メートルのツノのようなキバになる。象牙のようなこのキバはイッカクの上アゴを突き抜けて生える。このキバの目的は、メスを惹きつけることや、ライバルとの間でその大きさを競うなど、繁殖行動に重要な役割を果たすと考えられている。まれにメスにも小さなキバが見られることがあるが、オスほど目立たない。
イッカクは、バンドウイルカやベルーガ、ネズミイルカ、シャチの近縁である。ほかのイルカのように集団で行動し、魚類やエビ、ヤリイカなどの水生生物をエサとする。よく見られるのは15〜20頭の群れだが、数百頭、時には数千頭にもなる集団も報告されている。 これらの群れが流氷によって閉じ込められ、イヌイットのハンターやホッキョクグマ、あるいはセイウチの犠牲になることもある。
イヌイットの人々は、表皮や長いキバを目当てにイッカクを狩る。表皮と皮下脂肪は、北極圏における昔ながらの食物の中でも貴重なビタミンC供給源だ。開放水域ではシャチもイッカクを捕食する。