南アメリカ、アンデス山脈の密生したジャングルに生息する小さなメガネグマは、南アメリカ大陸唯一のクマである。アンデスグマとも呼ばれるメガネグマは、黒や褐色あるいは赤みがかった毛足の長い毛皮をまとい、その名前は、大きな眼鏡のように目の周りを囲む黄色や白い模様からきているが、この模様は必ずしも完全に目を囲んでいるとは限らず、また、模様がまったくない固体もいる。
クマ科の中で最も小さなものの一種であるが、メスより格段に大きいオスは体長約2メートルほどに成長し、体重は150キロ以上にもなる。メスは体重80キロほどだ。
非常に警戒心の強いこのクマは、標高4300メートルあたりのアンデス高地にある湿度の多い森林地帯に好んで暮らす。エサを求めて低地まで下りてくることもあり、熱帯雨林や草原地帯、海岸沿いの砂漠地帯といったまったく異なる環境の中で見かけることもある。主として菜食で、果物や野いちご、サボテンやハチミツを食べる。敏捷で木登りが上手なメガネグマは、果物が熟すのを待ちながら、木の上で枝を集めて作った平らな場所に何日も座っていることで知られている。彼らは樹皮やランの球根のような堅い植物をかむのに適した非常に強いあごと幅広く平らな臼歯を持っている。時には肉で食物を補い、小さな齧歯(げっし)動物や鳥、昆虫や小さなウシさえもエサとすることから、南アメリカで最大の肉食動物となっている。
メガネグマは単独で行動する動物で、成熟したメガネグマがほかの固体と接触するのは交尾期のみである。メスは通常1〜2頭の子どもを出産するが、子どもは生まれてから1カ月間は自分で歩くことはできない。母親と最長8カ月ほど共に暮らし、しばしば母親の背中にしがみ付いて共に移動する。
メガネグマの個体数についてのデータは十分でないが、野生に生息するのはわずか3000頭ほどと考えられている。その数は主に生息地の破壊により減少し続けており、食用および毛皮目当ての狩猟、農作物に対する害獣として駆除されるなどの理由も減少の原因となっている。 現在、メガネグマは絶滅の可能性がある動物リストに挙げられている。