ヘスペロルニスは、空を飛べない鳥だった。海を泳ぎ、歯の生えたクチバシで魚を捕って生きていた。その退化した翼は折りたたまれ、おそらく、水の中でかじ取りの役目をする以外にはほとんど使われなかったと思われる。白亜紀の海で獲物を捕まえ、翼の代わりに、水かきのついた強靭な後ろ足が、獲物を捕まえるときや敵から逃れるときに役立った。平らな尾は、水の中で潜ったり方向を変えるのに使われたと考えられている。
ヘスペロルニスは潜水と泳ぎは得意だが、陸上では、よちよちと歩いていたと考えられる。この鳥が陸に上がるのは、交尾と産卵の時期だけだっただろう。彼らにとって、陸も海も安全な場所ではなかった。なぜならば、陸では彼らより獰猛な恐竜が脅威となり、海では巨大なモササウルス科ティロサウルスが、ヘスペロルニスを好物にしていたからだ。
細長い首をしたヘスペロルニスが水面を泳ぐ姿は、現代のカイツブリという鳥に似ていただろう。また、捕食と繁殖の仕方は、ペンギンと同様だったと推測される。