自然で最も風変わりな光景の1つは、オーストラリアのエリマキトカゲが走る姿だろう。このユニークなトカゲは危険を察知すると、後ろ足で立ち上がり、黄色い口を開け、頚部の周りのカラフルなプリーツ状のひだを広げて、シュッシュッと音を立てる。この異様な行動でも敵がひるまなければ、口を開け、ひだを開いたまま、足を左右に広げて猛スピードで駆け出す。安全な木陰に辿り着くまで一切止まらず、この状態で走り続ける。
エリマキトカゲはオーストラリア北部の熱帯・温帯林やサバンナの森林地帯に生息するトカゲの一種である。生涯のほとんどを木の上で過ごすが、ときおり食事のために地上に降り、アリや小型のトカゲを食べる。他にもクモ、セミ、シロアリ、小型の哺乳動物を食べる。色や大きさは生息域によって異なる。成体は大きいもので尻尾まで60〜90センチ、体重は500グラムほどになる。メスは地下の巣に8〜23個の卵を産む。孵化したばかりの幼体は、すぐに親から独立し、狩りやひだを使うこともできる。野生での寿命は明らかでないが、飼育下では20年生きた例もある。
主な天敵は、猛禽類、大型のトカゲ、ヘビ、ディンゴ、野生のネコなどだ。エリマキトカゲは現在のところは絶滅の危機にはなく、保護もされていない。しかし生息地の減少や、特に野生のネコによる捕食が、個体数に影響を与えている。