タイマイは、大西洋、太平洋、インド洋の熱帯海域に生息する。深海を避け、繁殖地である砂浜が近く海綿生物が多い海岸線を好む。
タイマイは甲長が約90センチ、体重は約70キロ程度で、ほかのウミガメと比較して特に大きいわけではない。成体になる前の甲羅はハート型をしているが、成長するにつれて長く伸びていく。鮮やかな色合いの甲羅はノコギリの歯のようにぎざぎざで、分厚い骨板とそれを覆う鱗板(りんばん)が重なり合っている。タイマイの英語名「Hawksbill(タカのクチバシ)」は、鳥のクチバシのような先のとがった頭部の形状に由来する。さらに特徴的なのは、ヒレ状の足についている一対のツメである。オスのタイマイは、メスよりも長いツメと太い尾を持ち、甲羅の色も少し明るい。
タイマイは一般的に、好物の海綿動物が多く生息する岩礁にいることが多い。雑食性で、軟体動物や海藻、甲殻類、ウニ、魚類、クラゲなどを捕食する。堅い甲羅で多くの外敵から身を守っているが、大型の魚類、サメ、ワニ、タコや、人間の餌食になる。
ウミガメ科のほかの種と同様、タイマイは捕食地から繁殖地へ向かうために、驚くほど長い距離を移動する。交尾は2〜3年に1度、海岸近くの浅瀬で行われる。産卵が近付くと、メスは上陸して産卵場所を選ぶ。場所を決めると砂に穴を掘り、その中に多数の卵を産む。卵を砂で覆うと、メスは卵を残して海へ戻ってしまう。約60日で卵は孵化する。タイマイにとって一生で最も危険な瞬間は、孵化した子ガメが穴から海へ向かうときだ。子ガメはこの短い移動中に、貪欲なカニやカモメの餌食になってしまうことが多い。
多くのウミガメと同じように、タイマイは絶滅危惧IA類に指定されている。個体数が減少した主な原因には人間の影響が挙げられる。国際的に保護されているにも関わらず、タイマイの卵はいまだに世界各地で食用とされていて、成体も食肉や見事な甲羅を目的とした乱獲の対象となっているのだ。さらに優美なこのウミガメは、誤って漁網にかかり死んでしまうこともある。